安倍晋三内閣総理大臣は、ベトナム・インドネシア・フィリピン・シンガポール・タイとの間において、それぞれ首脳会談を実施した。
ベトナムのグエン・スアン・フック首相との日・ベトナム首脳会談では、安倍総理から、来年ベトナムはASEAN議長国及び国連安保理理事国であり国際社会の課題に共に取り組んでいきたいとの旨が述べられた。また、安倍総理大臣から無償資金協力では2案件の供与を決定したことが言及され、フック首相からは日本のODA供与に対して謝意が示されると共に、日本からの投資拡大への期待が示され、両者は今後の経済協力について意見交換を実施した。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領との日・インドネシア首脳会談では、ジョコ大統領から、大統領二期目の4つの優先課題のうちインフラ整備と人材育成については今後とも日本と協力していきたい旨が述べられ、安倍総理は積極的に協力していきたい旨を返答した。インフラ整備に関しては、ジョコ大統領から、都市高速鉄道(MRT)とジャワ島北幹線鉄道とパティンバン港整備について日本との協力を進めていきたい旨発言があり、安倍総理からは、MRTがジャカルタ市民に利用されていることを歓迎し、海上保安機構の能力向上支援を来年から開始予定であり、防災分野の政策・制度の改善を後押し及び洪水対策のための円借款の供与を検討している旨などを述べた。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領との日・フィリピン首脳会談では、ドゥテルテ大統領から、名古屋にフィリピン総領事館を開設予定であり、日本政府が事前同意を与えてくれたことに感謝する旨が述べられた。安倍総理からは、ミンダナオ島で相次いで発生した地震被害にお見舞いを表明し、マニラの橋梁の耐震性強化のため追加的な借款を供与する考えを述べ、ドゥテルテ大統領からはマニラ首都圏の地下鉄建設を含む日本による協力への感謝が述べられた。
シンガポールのリー・シェンロン首相との日・シンガポール首脳会談では、リー首相から、福島県産食品に対して残る輸入制限措置を日本がこれまで実施してきた安全措置を考慮し、また食品の輸出前検査を行うことを条件として撤廃する旨が述べられ、安倍総理からは、輸入停止措置の解除を歓迎するとともに感謝する旨が述べられた。また、両首脳はRCEPの早期妥結に向けて協力していくことで一致した。
タイのプラユット・ジャンオーチャー首相兼国防大臣との日・タイ首脳会談では、両首脳は両国による第三国協力を一層推進するものとして、日タイ・パートナーシップ・プログラム(JTPP(フェーズ3))の改訂・署名を歓迎し、両首脳はRCEP交渉の進展を歓迎し、プラユット首相からはTPP11への加入についてタイ政府内で前向きに検討していく旨が述べられた。また両首脳は、人材育成、企業間連携、東部経済回廊(EEC)のインフラ事業、ACMECS(エーヤワディー・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略)や日メコン協力についても意見交換を行い、両国間の防衛協力を一層推進していくことでも合意した。