日本政府は、モルディブの地方島における火災対応の能力を強化するため、5億円を供与限度額とする無償資金協力を実施することを決定した。
モルディブは大小1,190の環礁島から構成される小島嶼開発途上国であり、自然災害や火災が発生した際の対応が非常に困難な国となっている。モルディブの地方には計9つの地域消防署が存在して周辺の島々の火災に対応しているが、消防車や救急車を運搬する船である消防艇と運貨艇が不足しているため、地方島での火災に迅速に対応することができていなかった。そのため日本政府は、この問題を解決するための支援を実施することを決定した。
今回の支援は無償資金協力「経済社会開発計画」として実施される。具体的に実施される支援は、モルディブ政府に対して消防艇や運貨艇等の防災機材を供与するものとなる。この協力が実施されることより、地方島で火災が発生した際の迅速な出動と効果的な消火活動が可能となり、火災対応能力の強化が図られる。
なお、薗浦健太郎内閣総理大臣補佐官は6月17日から19日の予定でモルディブ共和国を訪問している。薗浦補佐官によると、モルディブはソーリフ政権となってからは特定国への偏重をやめバランス外交を志向しているため、日本政府としては日米印で支援していく方針としている。薗浦補佐官はシャーヒド外相と会談し、海洋協力などを話し合った。アミール財務相との会談では、財務相は前政権が積み上げた多額の債務の見直しを進めており大変な苦労をしているとして、日本は債務管理の専門家派遣などで支援していく予定である。
モルディブでは、前政権時に特定の国からの過大で本来は必要としない建設協力と融資を受け入れたために、一部では債務超過となるほどの債務を抱えていると言われている。そのため新政権では、特定国からの依存を目指しており、日本政府はアメリカ・インド・オーストラリアなどとの国と協力したうえでの幅広い支援を実施していく方針である。