岸田文雄内閣総理大臣は、日本の伝統であった終身雇用・年功序列などの雇用慣行は21世紀では足かせとなるとして、これらの伝統を変えるとともに、人材派遣会社などの企業への補助金を交付するリスキング補助金を創設したことを宣言した。
日本経済新聞社の主催により、日経リスキリングサミットが9月1日に開催された。岸田総理ビデオメッセージで、「様々な方々の御尽力により、リスキリングの取組が、持続的な動きとなっていること、大変うれしく思います。20世紀に最適だった日本の雇用慣行と労働市場は、21世紀の頭脳競争時代では足かせとなりつつあります。世界全体で産業構造の大変動が始まりつつある中、個人の競争力やモチベーションを抜本的に高めていくことが不可欠です。このため、5年1兆円の人への投資の政策パッケージを活用した、新たな時代に合わせた学び直しを行うリスキリング、日本型の職務給の導入、成長分野への円滑な労働移動、この3つを三位一体の労働市場改革として進めていきます。お集まりの企業、そして個人として参加されている皆様、共に、リスキリングによる成長に向けて、取り組んでいきましょう。今回の日経リスキリングサミットが、官民を挙げた人への投資の起爆剤となることなどを祈念します」との旨を述べた。
岸田政権では、2022年にリスキングに関する事業に合計で1兆円程度を投資する方針であることを明らかにしている。経済産業省では、『リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業』に令和4年度補正予算として753億円を計上している。東京都では『DXリスキリング助成金』を設けており、その他の省庁・自治体などでも『人材開発支援助成金』『教育訓練給付金』などの枠組みを設けている。これらの補助金は、基本的には個人に全額を直接給付する形ではなく、企業への交付、もしくは一部のみを個人に給付する枠組みとなっている。なお、人材派遣会社などは、政治家の資金団体や党支部などに合法的に献金を実施しており、政治への影響力を高めようとしている。