日本の独立行政法人である国際協力機構(JICA)は、パキスタン・イスラム共和国における母子保健・医療サービスの質の向上を支援するため、34億4,500万円を限度とする無償資金協力を実施する。
JICAの見解によると、パキスタン・イスラム共和国は、南アジアでも社会指標の低い国の一つであり、国連開発計画2019の人間開発指数は189か国中154位にとどまっている。大都市カラチを擁するシンド州は、医療アクセスが十分でないことなどにより、母子保健指標がとりわけ低い州の一つである。そのため、同州政府は「シンド州保健セクター戦略 2012-2020」において、医療サービスへのアクセス格差の是正を柱の一つに掲げており、その方策の一つとして医療施設の不足によりカラチに集中する患者を分散するため、州内各県でのリファラル体制構築を目指している。
そのためJICAは、イスラマバード市にて、パキスタン・イスラム共和国政府との間で、『シンド州における母子保健医療施設拡充計画』を対象として34億4,500万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結した。
この計画の実施予定期間は48ヵ月、実施機関はシンド州保健局、対象地域・施設はシンド州ハイデラバード県となる。具体的に実施する予定の事業内容は、「施設整備/機材調達」と「コンサルティング・サービス」となる。「施設整備/機材調達」では、既存施設の敷地内に母子保健センター棟の新設(産科及び小児科外来、陣痛室、産科病棟、新生児集中治療室、母体胎児集中治療室、検査室など)、新施設に必要な医療機材の整備(超音波診断装置など)を実施する。「コンサルティング・サービス」では、詳細設計、入札補助、施工・調達監理、(ソフトコンポーネントとして)機材の運営・維持管理に係る研修を実施する。