小泉龍司法務大臣は、国連難民高等弁務官から日本は難民認定率が低く第三国定住難民の受入れを拡大すべきと述べられたことに対しては、この要求を全面的に否定することはなく、難民とは認定しない場合であっても総合的に判断した結果は保護をしていくとの見解を示した。
10月24日に実施された法務大臣閣議後記者会見の際に、記者から「難民認定申請者数が急増しているとの報道がありました」との旨の質問が行われた。
この質問に対して大臣は、「報道ベースですが、コロナが少し収まってきて水際の規制が緩んできたということ、世界各地で紛争が多発しているということがバックグラウンドとしてあるのではないかというマスコミの報道がありますよね。そういう状況を踏まえながら、補完的保護対象者の認定制度も始まっていきますし、改めてこの難民問題についての原点でしっかりと立脚してね、対応していきたい」との旨を述べた。
その後に、記者から「10月20日に、グランディ国連難民高等弁務官が記者会見されました。日本政府の難民受入れの状況について、難民条約に制限的な解釈をしているのが問題であると。それで難民認定手続に時間がかかり、難民認定率も低いということを問題に挙げていらっしゃいました。12月1日から施行予定の補完的保護制度については、国際人権法に基づく制度運用に、UNHCRとしても協力したいとおっしゃったりですね、それから第三国定住難民の受入れの拡大を法務大臣に求めたことなどを、おっしゃっておられました」との旨の質問が行われた。
この質問に対して大臣は「グランディ国連難民高等弁務官と大変有益な意見交換ができました。申請者ごとに申請内容をしっかりと審査して、そして適切に定義に基づいて難民と認定すべき方については、適切に認定していく。そして、そういう認定の手続を経てもなお、難民とは認定しない場合であっても、出身国の情勢等に鑑みて、人道上、本邦での在留を認めるべき者については、在留を適切に認めて保護していく、また現実に保護しているわけであります」との旨を述べた。