スリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相は、現在発生しているスリランカ経済危機を防ぐためには各国からの支援が必要ではあり、中国からの支援もある見込みではあるが、クウェート戦争(湾岸戦争)の時には日本が助けてくれており、この日本が今の私たちには必要であるとの旨を述べた。
スリランカ財団研究所(The Sri Lanka Foundation Institute)で開催された、スリランカ経済危機のスピーチで、ウィクラマシンハ首相は冒頭に、「私は、スリランカの危機についてお話しするよう依頼されました。スリランカの経済危機は、すでに始まっています。私たちがどのようにして外貨を奪ったか、どのようにして私たちだけでやっていこうと決めたか、どのようにして国民からだけでなく国会からも、当時の政府のメンバーからも事実が隠されたか。その結果、政治的な危機が生まれ、国をここまで悪化させた政治体制に対する信頼が失われたのです」との旨を述べた。
その後に、「飢餓を回避しなければならないのです。他の国、友好国と話し合って、助けを求めているところです。私たちは自分たちの力だけでは今年を乗り切ることはできません。外から数十億円の資金が必要です。でなければ、この国は生き残れません。拒絶した人たちに、もう一度手を差し伸べなければならなりません」との旨を述べた。
その後に、スリランカ政府が、2020年に日本の支援で建設を計画していた2500億円規模の鉄道整備事業の中止を閣議で一方的に決定したことを念頭に、「日本人は1952年から今日までの友人であり、このことで傷ついている我々の友人です。30億ドル分の援助を、感謝もなく、交渉もしないで拒否する国がどこにありますか?その人たちとどうやって信頼を取り戻すんですか?」との旨を述べた。
その後に、「以前は何か問題があると、日本が救済してくれました。クウェート戦争の時には、現地から国民全員が帰国しなければならなかったとき、ラナシンハ・プレマダーサ大統領(当時)が私を日本に送り、海部俊樹内閣総理大臣(当時)に会わせたのを覚えています。彼は受け取った手紙を横に置き、『はい。私の部下に何とかするように指示します』と言いました。そして、私が行く前には『6億ドルあげます』と言いました。1990年代に6億円というのは大きいですよ」との旨を述べた。
その後に、「しかし、今は違います。私は、この人たちとの信頼関係を再構築し、援助を増やすための話し合いに時間を費やさなければなりません。先に政府に援助を約束した国もありますが、それだけでは十分ではありません。日本のようなところにも手を差し伸べなければなりません。インドが支援を開始し、中国も来ていますが、日本が必要なのです」との旨を述べた。