上川陽子法務大臣は、記者からの仮放免状態の元技能実習生や在留資格が切れた人に対して公的支援を行えないかとの旨の質問に対して、在留資格がない仮放免中の外国人に対しては出入国在留管理の一環として公費による生活支援を行うことは困難であるとの認識を示した。
12月11日に実施された法務大臣閣議後記者会見の際に、記者から「仮放免について、仮放免の条件として就労禁止というのが、今現在仮放免になった方についております。10数年前までは、仮放免の条件に就労禁止がついていることはありませんでした。実際、就労している方も、仮放免の方でたくさんいました。新型コロナウイルスによる経済の悪化の中で、今まで仮放免状態で家族や親族等の身近な支援者から経済的援助を受けていた方も、そういう援助がなくなり、また在留資格がないということで、地方自治体からの様々な公的支援も受けることができない方が続出しています。その中には元技能実習生、また在留資格が切れてしまったような方もいらっしゃいます。公的支援についても受けられず、就労も駄目、それから県外移動も駄目ということで、一体どうすればいいのかと途方に暮れている方が多いと思うのですが、法務省として何らかの対策を講じることはできないのでしょうか」との旨の質問が行われた。
大臣からは「まず就労の問題ということでありますが、在留資格がない仮放免中の外国人には就労が認められないということは、現行の仮放免制度の当然の前提として従来から変わらず維持されてきたものと承知しております。かつては、こうした当然の前提について、あえて仮放免条件として明記しないという場合もあったとのことですが、現在は就労の禁止を明記することを原則としていると聞いております。次に、困窮等の場合の対応についてですが、基本的には所轄の地方出入国在留管理局に御相談いただきたいということであります。在留資格を有しない仮放免中の外国人に対しては、現行制度の下の出入国在留管理の一環として公費による生活支援を行うことは困難であると考えております。また、仮放免中の外国人の方につきまして、生活に困窮するなどの問題がある場合には,所轄の地方出入国在留管理局に連絡・御相談いただきまして、個別にきめ細やかな対応をとることとしているということでございます」との旨を述べた。
その後に大臣は「仮放免中の外国人を含めまして、帰国が困難な外国人の問題につきましては、引き続き関係省庁と連携しながら、出入国在留管理行政を所管する法務省としても、適切な役割を果たしてまいりたいと思っております」との旨も述べた。