千葉県の総合企画部国際課は、多文化共生の理念や方向性をとりまとめた「千葉県多文化共生推進プラン」の案が策定されたことにともない、この案に関しての意見募集を開始した。このプランでは、外国人県民に関する人権の啓発・保護などが盛り込まれている。
千葉県の見解によると、千葉県内の在住外国人が年々増加する中、言語・文化・習慣の違いにかかわらず、全ての県民が地域社会の一員として共に生きていく多文化共生の社会づくりの必要性が高まっているとしている。そのため千葉県では、外国人県民を取り巻く課題を整理して多文化共生の理念や方向性をとりまとめた「千葉県多文化共生推進プラン」の策定を進めており、今回はプランの案が作成されたために、意見の募集を開始した。なお、日本の国籍を取得している人でも外国にルーツを持ち千葉県で生活する上で様々な困難を抱えている方も存在しているとしており、このプランにおいては、『国籍にかかわらず、日本以外の多様な言語や文化的背景を有する県民』を「外国人県民」としている。
作成したプランによると、プラン策定の背景として各種調査を実施しており、千葉県における国・地域別外国人数は、中国が外国人数の153,500人の33.6%を占めており、フィリピン、ベトナム、韓国・朝鮮、ネパールと続いており、特にベトナム、ネパール、スリランカは近年は人数の増加が著しく、外国人全体に対する構成比も年々上昇している。在留資格別外国人数は、2018年末時点では「永住者」が49,391人と最も多く、在留外国人の31.6%を占め、2013年からの5年間で23.1%増加しており、「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」はいずれも増加傾向にあり、定住化の傾向がみられている。外国人留学生数は、千葉県内にキャンパスを有する大学等、専修学校、法務省告示日本語教育機関に在学する留学生の総数は13,435人となり、国・地域別ではベトナム4,721人、中国4,192人、ネパール1,551人、スリランカ665人、韓国556人となっている。
これらの調査結果などを元として、プランにおける多文化共生の基本目標は『言語・文化・習慣の異なる外国人県民と日本人県民が、共に地域社会の一員として助け合い、安心して暮らし働き、活躍することのできる県づくり』としている。具体的に実施していく取り組みでは、外国人県民に関する人権の啓発・保護としては、「人権啓発指導者養成講座事業」として、職場や地域の人権啓発のリーダーを育成するため外国人県民に関する人権をテーマに含めた短期集中型の講座を開催する。「人権ユニバーサル事業」として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を機に、人権ユニバーサル社会を実現し、これを未来につなげていくため、外国人県民に関する人権をテーマに含めた交流イベント、後援会、研修会、シンポジウム等の人権啓発活動事業を実施する。「ちば人権出前講座・人権問題講師紹介事業」では、全ての人が自分らしい生き方のできる社会を実現し、差別意識や偏見をもたない「心のバリアフリー」を達成するため、地域・企業・NPO・行政機関等が外国人の人権をテーマに含む研修会・講習会を開催するにあたり講師を紹介する。