独立行政法人の国際協力機構(JICA)は、JICAが日本のバス事業者が培ってきた100余年にわたるノウハウを生かして複数の国でバス事業を支援しており、その中の東南アジアのミャンマー・ラオス・カンボジアの3カ国での事業内容を紹介した。
ミャンマーにおける支援は、最大都市ヤンゴンで2017年から「ヤンゴン公共バスサービス改善プロジェクト」を実施している。この支援では、市内を走るヤンゴン公共バスサービス(YBS)に向けて、日本のバス事業者による運転技術や車両の維持管理の技術移転を行っており、車両の維持管理では兵庫県の神姫バス株式会社の協力を得ていて実施している。また、ビエンチャンの友好都市となっている京都市から、中古の市バス36台が2018年に寄贈され現地で活躍している。
ラオスにおける支援は、首都ビエンチャンで2011年から「ビエンチャンバス公社能力改善プロジェクト」を実施している。この支援では、車両の維持管理法の指導から現在は労働環境やサービスの改善を実施しており、以前はバス運転手の給与が歩合制で運賃の中抜きや乗客の多い道への勝手なルート変更などが発生していたことから固定給に変更しており、バス公社が売り上げを正確に管理できる体制に移行中である。また、埼玉県のイーグルバス株式会社の協力で、バス公社の中にサービス改善に注力する新たな組織を立ち上げた。
カンボジアにおける支援は、首都プノンペンで2017年から「プノンペン都公共バス運営改善プロジェクト」を実施している。この支援では、プノンペンに2014年9月に設立されたバス公社では、設立当初は3路線57台のみの運行だったが、日本から80台のバスが無償で提供され、中国からのバス供与もあり、現在は13路線235台にまで拡大しており、乗客は当初の1日あたり6000人から3万人にまで増加している。また、バス公社幹部らは日本の名古屋市の名鉄バスを訪問し、公共交通利用促進の政策や安全のための取り組みを含むバスサービス運営のノウハウを学んだ。