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中国が主導し設立を目指しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)には合計で50カ国程度が参加する見込みである。現時点における発表では、アセアンの10カ国(ブルネイ・カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム)の全てが参加する見込みであるが、これらの10カ国におけるAIIBへの支持の度合いは大きく異なっている。

中国との南シナ海の領有権争いを繰り広げているベトナムとフィリピンに関しては、AIIBの設立を積極的に支持をしていないが、参加しない場合にはAIIBからの融資等を受けられない可能性が高くなるため、止む無く参加を表明しているという現状がある。

一方で、カンボジアとラオスはAIIBを積極的に支持している。
特にカンボジアでは、中国がAIIBとは別に設立を表明しているシルクロードファンドから、昨年の11月の時点で既に多額の支援を受けることを表明しており、今回のAIIBに関しても積極的に支持することを表明している。これらの支援を受けているためか、南シナ海の領有権争いに関しては「領有権争いは当事者同士の国で解決するべきであり、ASEAN全体の枠組みで解決すべきではない」との見解を示すようになっており、ASEAN全体で対中国包囲網を張りたいベトナム・フィリピンと大きく意見が異なっている。
ラオスに関しては、以前のニュース(ラオスへのODAは日本がトップ)でも報じているが、ODAの供与額は日本がトップであったが、近年では中国はラオスへの支援を推進しており、このAIIBに関しても更なる支援を獲得するために、ラオスはAIIBの設立を積極的に支持している。

現時点では日本はAIIBへの参加を表明していない。日本政府は、日本とアメリカが主体的に運営し日本人が総裁を務めているアジア開発銀行(ADB)や、世界銀行(WorldBank)などで、アジア各国への支援は十分に対応出来ると考えているためである。特にアジア開発銀行では日本が最大の出資者(15.7%)であることからも、今後もアジア開発銀行を軸とした支援活動を進めていく見込みである。

【ADBの出資比率】
日本:15.7%
米国:15.6%
中国:6.5%
インド:6.4%
オーストラリア:5.8%
インドネシア:5.2%
カナダ:5.3%
韓国:5.1%
ドイツ:4.3%
マレーシア:2.7%
フィリピン:2.4%
フランス:2.3%
パキスタン:2.2%
英国:2.1%
イタリア:1.8%
ニュージーランド:1.5%
タイ:1.4%
台湾:1.1%
バングラデシュ:1%
オランダ:1%
その他:10.7%

※ADBの報告書から数値を引用(2013年末時点)

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  • ベトナムのヴィンロン省出身です。日本企業は今ベトナムに巨額の投資をしているのですが、この機会にぜひヴィンロン省にも投資をお考えてみてはいかがですか。ヴィンロンは農業が盛んな地域で、サイゴンとカントーの間にあり、人口102万人もいるという地理的にも有利で,人材的にも豊富です。

  • 失礼します。いつもニュースを拝見しているヤンゴン在住者です。上記記事の今年1月のレートは、1ドル=1030チャットの誤りではないでしょうか。上記のレートでは、急激なチャット高が進んでいることになってしまいます。また、出典が書かれていませんが、参考までに書いて頂けると、読者のためになるのではないかと思います。僭越ですが、よろしくお願い致します。

  • インドネシアは盗品とわかって購入する恥知らず。
    しかも情報垂れ流し。
    日本は経済制裁すべきですな

  • 毎々、興味深く拝読しております。
    有益な情報を発信して頂きまして誠にありがとうございます。

    さて、本記事についてですが、宜しければ記事のソースを教えて頂けないでしょうか?

  • 日米間も過去を乗り越えることに成功した。越米間はちょっと状況あ違うだろうが、なんとか過去を乗り越え、発展した関係になってほしい。このままでは、中國の思うツボだ。

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