大統領命令でも安全面を重視し認可を出さない運輸大臣、インドネシア高速鉄道
バンドンと首都ジャカルタを結ぶインドネシア高速鉄道計画は、各種の認可が得られていないために建設が進んでいない状況であり、ジョコ大統領は建設を急ぐように指示を出していたが、各種認可を担当するジョナン・インドネシア運輸大臣は、今後も大統領命令があったとしても安全面などの保証が確実に得られない場合には建設を許可しない方針であることを、現地メディアからの取材に応じる形で明らかにした。
ジョナン・インドネシア運輸大臣によると、工事の着工式を実施する関係で極一部の地域のみの開発が行われたが、これ以上の建設は認可が下りない限りは行う予定はなく、このプロジェクトが完了するまでには、まだ長い時間がかかる見込みである。また、ジョコ大統領から建設を急ぐように指示を受けていることは認めつつも、安全を第一に考えているため、大統領令があったとしても必要な認可が下りない限りは工事が進むことは無いとしている。
現時点で、工事を担当するインドネシア国営企業と中国国営企業からなる合弁会社(KCIC)が早急に作成・修正する必要があるものは、プロジェクト全体のフィージビリティスタディ、投資計画、旅客需要予想などが挙げられている。特に問題視されているのが、旅客需要予想であり、KCIC側の予測と運輸省側の予測が大きく異なっており、この予測が甘い場合には適切な投資計画などが作成できないために、早急なすり合わせ及び確定が必要な状況となっている。
以前から指摘されていた地震早期警報システムの設置に関しても、KCIC側からは明確に設置するとの回答はまだ得られていないが、予定している線路では4つ程度の地震多発地域を通ることからも、このシステムを確立する事は必須と運輸大臣は要求している。
ジョナン・インドネシア運輸大臣は、他大臣などと異なり安全面を重視する姿勢を明確に出している。なお、ジョナン運輸大臣は、以前のニュース(日本はインドネシアの首都圏東部新港湾の建設に協力)でも報じているが、2月24日に日本に訪問し、木原外務副大臣と首都圏東部新港湾などの協力に関する話し合いを実施していた。この際には、中国の無償資金計画により実施される高速鉄道計画とは異なり、日本の円借款の枠組みを利用し、適切な官民分担のもとに両国協力事業として実施する方針であることが伝えられている。