中国受注のインドネシア高速鉄道の起工式を実施へ、安全よりも着工を重視
中国政府が受注したインドネシアの高速鉄道プロジェクトでは、まだ必要な認可が全て取れておらず、未確定な契約内容が存在するが、建設を急ぐために急ピッチで作業を進め、1月14日までに両政府による詳細合意を行い、起工式を1月21日に行う予定であることを、複数の現地メディアが報じた。
インドネシアのジャカルタ・バンドン間の高速鉄道は、日本政府と中国政府が受注を目指して争っていた。提案合戦の途中で、中国政府がインドネシア政府の政府保証を要求しなかったため、インドネシア政府が日本政府に中国政府と同等の条件を要求したが、日本政府がこれを常識的ではないとして断ったために、中国政府が受注することとなっていた。特に日本政府は長年にわたりインドネシア現地での地盤調査や各種調査や用地取得方法などを念入りに実施したうえでの提案だったが、中国政府側ではこれらの調査を行った形跡がないことからも、様々な疑念があがっていた。
中国政府・インドネシア政府の関係者からなる鉄道建設プロジェクトチームが目標としているスケジュールは、現時点でまだ未確定な契約部分に関する詳細合意を行い、一部区間において必要とされる手続きを進め、14日・15日頃までにはこれらの認可および契約の詳細合意を行い、21日までには起工式を実施し、遅くとも1月末までには建設を開始することを目指すスケジュールとなっている。しかしながら、路線建設に必要な認可取得には時間がかかるという見方もあり、このスケジュールは予定通りに進まないとの指摘もある。特にこの時点で曖昧な契約・作業方針を確定させてしまった場合は、後々に大きな問題や事故に繋がることになるとして、急ぐべきではないとの声も多く挙がっている。
この鉄道建設を急ぐ動きは、中国政府の意向で行われていると思われがちだが、インドネシア側のジョコ大統領にとってもこの鉄道建設を早期に開始・完成させたい背景がある。インドネシアの次回の大統領選挙は2019年に行われる予定であり、この選挙の前までには鉄道建設が完了し、無事に運航が行われていることを国民にアピールさせる必要があるためだ。特にインドネシア経済が低調であり、国民からは有効な経済対策を行うよう要求されているため、この鉄道計画プロジェクトは失敗出来ないものとなっている。
なお、以前のニュース(タイ・中国鉄道計画が開始、協力相手を日本に変更と望む声も)でも報じているが、タイと中国を結ぶ鉄道計画も、詳細が確定していないにも関わらず、起工式を行う異例の事態となっている。