ユニクロ(UNIQLO)やジーユー(GU)などを運営するファーストリテイリンググループが取引を実施しているカンボジアの衣料品工場の一部において、長時間労働のほか労働組合活動に対する不利益な取り扱いがあった恐れがあることを、特定非営利活動法人(NGO)のヒューマンライツ・ナウは4月1日に発表した。
この発表によると、NGOのヒューマンライツ・ナウが2015年2月8日から12日にかけて、カンボジアの縫製工場における労働環境を確認するために調査団をカンボジアに派遣し調査を実施した。その結果、聞き取りを実施した労働者から違法かつ過酷な長時間労働が実施されていることが判明した。
カンボジアでは、労働省の通達により1日の残業時間は2時間以内と制限されているが、この制限をはるかに上回る不払い残業を強制している工場が存在していることが判明した。月給の支払の際には給与明細がないため、給与の計算根拠も不明であるという事例も存在していた。労働者はこのような不当で過酷な残業をしばしば命じられるが、残業を断ることは事実上は不可能であるという。それは、残業を更新しなければ期間更新してもらえないという恐れがあるためである。
カンボジア労働法では、労働組合への加入・活動への参加を理由とする解雇・昇進等における差別を禁止しているが、組合に加入したことにより解雇された疑いがあるケースも存在していた。また、女性労働者の保護の欠如が激しく、妊娠した女性が有期契約の場合は契約を打ち切られるケースも存在していた。
これらの調査結果をうけてNGOのヒューマンライツ・ナウは「ファーストリテイリング(GU、ユニクロ)、H&M、M&S その他のブランドについては、調査・モニタリングの改善とその結果の公表により説明責任を果たすことを通じて、人権侵害の改善を支援することが求められている。」と勧告している。
これらの発表をうけて株式会社ファーストリテイリングは「これらの事実関係の確認を現在実施しています。問題があると認められた場合には工場に対し速やかな改善を求めるとともに、改善に向けて協力してまいります。また今年4月からは、ユニクロの全ての取引先縫製工場およびジーユーの主要取引先縫製工場に対し、抜き打ち監査を実施する計画です。今後も工場労働環境の継続的な改善に向けた取り組みを進めてまいります。」との発表を実施している。
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