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フィリピン大統領選に勝利したロドリゴ・ドゥテルテ氏は、南シナ海問題でアメリカからの十分な協力が得られない場合には、アメリカの意向を無視して独自に中国政府との和解を行うこととなった。

現地テレビ局からの取材に答える形でドゥテルテ氏が明らかにした。ドゥテルテ氏がオバマ大統領と電話で会談を行った結果、オバマ大統領から中国政府との対話による解決は、南シナ海問題における仲裁裁判所の結果を待つように伝えられた。しかしドゥテルテ氏は、アメリカ政府からの十分な協力が得られない場合には独自に中国政府との協力を進めていく方針である事を伝えた。従来の同盟関係を維持していく事には両者は同意したが、今後の協力関係は不明となった。

中国外務省では、ドゥテルテ氏との対話を通じた解決を望んでいる事を発表しており、ドゥテルテ氏が望む経済協力にも全面的に賛成している。以前のニュース(フィリピン大統領候補は中国が鉄道供与した際には南シナ海問題を棚上げ)でも報じているが、ドゥテルテ氏は大統領選前から中国との和解と経済協力を行う事を明言していたことからも、この方針を貫くとみられている。ドゥテルテ氏は中国政府から経済協力を受ける状況であることをアメリカ政府に提示し、逆にアメリカ政府からよりよい条件の支援を引き出す狙いがあるが、成功するかは未知数である。

オバマ大統領は、現政権のアキノ大統領からの要望に応える形で軍事協力を進めていたが、新政権が樹立することにより梯子を外された形となった。アキノ大統領とは、アメリカ軍とフィリピン軍による共同軍事演習の実施、南シナ海での共同パトロールの実施、アメリカ軍のフィリピン常駐、などの様々な協力活動を行う事を決定していたが、大幅に変更する事となった。また、日本政府もフィリピン政府と「防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定」を締結していたが、見直しを検討する状況となっている。

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