ベトナムで日本企業への優遇措置の廃止発表により混乱

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在ベトナム日本大使館は、今までに優遇措置を享受してきた企業がベトナムの政令により優遇措置を取り消されたことなどにより混乱が発生しているため、これらの問題が発生している企業は商工会議所もしくは大使館に相談するように呼び掛けている。

ベトナムでは政令29号により、特別経済区内の労働者は個人所得税が50%減税されるという優遇制度が設けられていた。しかし2018年7月10日に施行された政令82号では、政令29号を改正するかたちで、この優遇制度が突然削除されていた。

在ベトナム日本大使館とベトナム日本商工会議所では、優遇制度を突然一方的に廃止することは「信義則」に反することでありベトナム政府の信用を自ら傷つけ投資環境の信頼性に大きな疑義を生むことになるとして、「これまで優遇措置を享受してきた企業については、引き続き優遇措置が適用されるべきである」旨を、ベトナム政府関係当局及び要人に対して昨年末以降繰り返し働きかけを行っていた。

しかしながら、ベトナム財政省より当館に対して「政令82号の規定通り改正法令を適用する」旨の通知が行われ、この措置の対象となる企業に対しては日本商工会議所等を通じて既に通報している。この通知を受けて、日本大使館はベトナム政府に対して、「越政府の正式回答までの間、対象法人が優遇措置に基づいた税を支払っていた場合、罰金や延滞金の徴収を絶対に行わないよう」強く働きかけを行った。その結果、6月15日の首相主催の政府会議で「罰金及び遅延利息を課さない方向とする」旨で結論が出たとの情報に接したため、大使館からはこの結論を書面で発出するよう越政府に要請している。なお、ベトナム投資法では、新しく制定された法令の投資優遇措置が従前享受していた優遇措置よりも不利になる場合は、既存の投資家は引き続き従前の規定に基づく優遇措置の適用が受けられることが明確に規定されている。

日本大使館では、ベトナムにおける投資優遇措置は法令の解釈に基づく混乱が他の案件でも複数発生しているとして、問題に直面されている企業は商工会議所もしくは大使館に遠慮なく相談するように呼び掛けている。