中国は漁業権回復を餌にフィリピンに2国間協議を迫る、南シナ海

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在フィリピン中国大使の趙建華氏(Zhao Jianhua)は、南シナ海におけるフィリピン側の漁業権はフィリピンが仲裁裁判所の判決を前提としない話し合いに応じれば解決する可能性がある、と現地メディアの取材に答える形で明らかにした。

趙建華大使はメディアのインタビューを受けた際に「中国政府はオランダのハーグ仲裁裁判所の判決を受け入れていないが、フィリピン政府との二か国間協議を行う事には期待している。我々は長年の友人でありパートナーでもあるからだ。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領も、我々の事を友人と認識してくれており、自身にも中国の血が流れていると言ってくれている。ドゥテルテ大統領も中国政府とは戦争をしたくないと言ってくれている。」と前置きを述べ両国の関係は友好であるとアピールした。

記者から解決策などを問われた際には「フィリピン政府が南シナ海において漁業が行えなくなっている事に対して強い懸念を抱えている事は把握しており、この問題は協議により解決する事が可能かもしれないと私は考えている。我々は共通の利益を得るために、協力し合う事は出来るはずである。海洋における共通探査なども行えるはずである。」と見解を述べた。

この大使の提案に対しては現地メディアからも警戒の声が挙がっている。フィリピン政府のみに南シナ海における漁業権等を与えられたとしても、その代わりに南シナ海においてはベトナム・マレーシア・ブルネイ・インドネシアなどの他国の権利を一切認めない事に、フィリピン政府も同意するように要求されるのでは、との推測もあがっている。

現地メディアの報道によると、ドゥテルテ大統領は2016年末までに中国訪問を行う事を予定している。フィリピン元大統領のラモス氏も定期的に非公式協議を続ける方針であり、ロドリゴ大統領の訪中を行う下準備を進めていく。