フィリピンは中国との裁判結果を前提としない交渉を拒否、更なる経済支援を要請へ

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ヤサイ・フィリピン外務大臣は南シナ海問題に関して、中国政府から仲裁裁判所の判決結果を前提としない事を条件とした話し合いを提示されたが、この条件には応じる事が出来ないとして提案を拒否した事を地元メディアの取材により明らかにした。

6月30日にフィリピンの大統領に就任したロドリゴ・ドゥテルテ新大統領は、大統領選の時点から中国政府との経済協力により南シナ海問題を解決する事を明言していた。大統領に就任する事が決定してからもこの方針は変更されていないが、ヤサイ・フィリピン外務大臣は裁判結果を元とした交渉を行った方がフィリピン側に有利な話し合いが出来るとして、解決方法の方針を一部変更していた。

中国外務省は定例記者会見の際などに「中国政府は仲裁裁判所の判決は受け入れませんが、フィリピン政府とは話し合いによる平和的な解決を行います。既にフィリピン政府との話し合いを開始しています。」との状況を明らかにしている。

ヤサイ・フィリピン外務大臣は地元メディアのインタビューに対して「16日までにモンゴルで開催されたアジア・ヨーロッパ首脳会議の際に中国政府との話し合いの場を設けました。その際には中国政府から、オランダのハーグ仲裁裁判所が下した判決は考慮せずに二国間だけの話し合いで平和的な解決方法を探ろうと提案されました。私はこの提案を拒否しました。仲裁裁判所の判決を受け入れた後に、話し合う形でないのであれば、それはフィリピンにとっての国益にそぐわないからです。」との旨を述べていた。

フィリピン政府は、仲裁裁判所の判決が出る前には中国政府から非公式にマニラ首都圏とクラーク国際空港を結ぶ鉄道建設を全面的に支援するとの条件提示を受けていた。しかし、この条件では不十分としてフィリピン政府は受け入れていない状況であった。仲裁裁判所の判決がフィリピン政府に有利なものとなったために、フィリピン政府は更なる良い条件での経済支援を受けるための交渉を中国政府と進めていくとみられている。