南シナ海の裁判結果でフィリピン側は更なる経済支援を引き出す

このページの所要時間: 137

フィリピン新大統領は、仲裁裁判所が南シナ海問題において裁定を下した後に、有利な裁定結果を元として中国政府から更なる経済支援を引き出したうえでの交渉を行う方針であることを、現地メディアの取材の際に見解を明らかにした。

フィリピン前大統領であったアキノ大統領は、南シナ海の領有権問題を中国政府と争っていたが、二国間での話し合いで解決出来なかったためにオランダのハーグ常設仲裁裁判所に提訴していた。この仲裁裁判所は7月12日に裁定を下す事を発表しており、フィリピン政府側に有利な裁定が下る事がほぼ確実な状況となっている。特に、中国政府が主張する九段線をも否定するものになるとみられている。

6月30日に就任したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領は、大統領選の期間中から南シナ海の領有権問題は中国政府からの経済支援を軸とした話し合いで解決すると述べており、大統領選に勝利した後もこの方針を貫く事を明言していた。その後は中国政府との非公開な話し合いが実施され、中国政府からはフィリピン国内の首都圏と国際空港を結ぶ鉄道を2年程度で建設する支援を行う意思がある事が伝えられていた。

ドゥテルテ大統領は、この中国政府の提案を受け入れるかと思われたが、更にフィリピン側に有利な条件での経済支援を引き出すために常設仲裁裁判所の裁定を待つこととなった。ドゥテルテ大統領は現地メディアの取材に対して「仲裁裁判所の判決にはフィリピン政府は必ず従うため、中国政府も判決には従うべきである。この判決はフィリピン政府側に有利な裁定結果となる事が確実なため、我々は焦る必要はない。しかしながらフィリピン政府は平和的な解決を望んでいるため、どの様な結果が下されても中国政府との話し合いで解決する事を約束する。有利な結果が出れば、それはフィリピン政府側にとっては有利な条件での経済支援を受けられる事に繋がるであろう。」と見解を述べた。