日本はフィリピンの鉄道整備を支援、中国の事後処理か
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日本の安倍晋三内閣総理大臣は、フィリピンの首都マニラにおいてアキノ大統領と会談を行い、マニラ首都圏の鉄道整備の支援を行うことなどを目的とした「南北通勤鉄道計画(マロロスーツツバン)」計画に合意し、書簡の交換を行ったことを外務省は発表した。この計画は当初は中国政府がフィリピン政府に無償資金協力を申し出て支援していたが、度重なる建設中断などが発生していたため、実質的に凍結されていた。
この支援は、6月に実施された日・フィリピン首脳会談において合意していた内容に基づくものであり、日本の資金(2,419億9,100万円を限度とする円借款)と技術を活用して実施される計画である。今回の支援対象地域は、北方のブラカン州マロロス市から首都圏マニラ市ツツバンまでの区間となる予定である。この地域の鉄道整備を行うことにより、マニラ首都圏の交通網の強化を図り、地域の経済発展に貢献出来る見込みである。
今回の支援の一部は、中国政府の支援により実施していたプロジェクトが実質的な中止となっていために、日本政府が引き継ぐ形となったものである。2004年頃からフィリピン政府と中国政府は協力方法について話し合いを開始し、中国政府が無償資金協力による支援を提案したため、フィリピン政府は歓迎と共にこの案を受け入れ、建設を開始した。しかしながら、工事の度重なる中断が相次ぎ、この支援契約の内容の一部に不備・不法な疑いがあることが判明したため、アキノ大統領の判断によりこの計画は実質的に凍結されていたものである
インドネシアの高速鉄道計画は中国政府が受注することとなっているが、今回のフィリピンの例のように、度重なる工事中断が相次ぎ、結果として日本政府が後を引き継ぐ形になるのではと、一部の有識者達からは懸念されている。