マニラのクリスマス【コラム】

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フィリピン国のマニラ市でのクリスマスの雰囲気を今回はお伝えしたいと思います。

もちろん華やかなパーティーで盛り上がる皆さんもいらっしゃるのですが、お金のない普通のフィリピン人のクリスマスをお伝えしたいと思います。

皆さんがご存知のようにフィリピン人は英語をとても上手に話します。お金がなく貧乏な人達も流暢な英語を話します。またフィリピン人はとてもHospitality(親切心)を持っていると言われる事もあります。彼らは普段から助け合ったり、協力しながら生活をしているのです。日本にも昔はこのような人達が大勢いました。台所やトイレなどを共同で利用しながら助け合って生きていたのです。

マニラにはトンドと呼ばれる地区があり、多くの貧しい人達がそこで暮らしています。私はそのトンド地区を何度か訪れた事があります。25年以上も前の事になりますが、テレビを寄付した事もあります。当時は電気の契約や水道の契約もいい加減な人達でしたが、テレビには大いに喜んでいただけました。彼らの血にはラテン系の血が混じっているようでとにかく陽気な人が多かったです。エンターテイメントの世界では他のアジアの人達には決して引けを取らないのではないかと思っています。

そうした陽気な人達がトンドで迎えるクリスマスとは一体、どのようなものなんでしょうか?

マリア様に静かにお祈りをし家族の幸せを祈った後は、やはりワイワイと騒ぎます。テキーラを飲みながらローストチキンをほおばり、歌ったり踊ったりして騒ぎます。それが彼らのクリスマスです。クリスマスにはお金が必要となりますから、普段あまり仕事をしていない人もクリスマスが近づくと仕事をします。慣れない仕事ではありますが、一生懸命働いてお金をつくります。そしてそのお金をクリスマスでほとんど使ってしまいます。ところがその後すぐにHappy New Year!があります。果たして彼らはどのように過ごすのでしょうか。少し心配になりますね。

家族の中には真面目に働いている子供もいます。そういう子供たちがたくさんのお土産をぶら下げて家に帰ってきます。その子供たちは親が普段お世話になっている隣近所の人達にもお土産を運んできます。そこにはたくさんの笑顔があります。そこには大きな、大きな幸せがあります。毎年変わらぬこの営みがフィリピン人のHospitalityを支えているのではないでしょうか。

一人だけではなくみんなで一緒に楽しむ喜び。一人だけ幸せになるのではなく、みんなで一緒に幸せになる心地よさ。ひょっとしたら我々日本人は忘れかけていたかも知れませんね。マニラのクリスマスはもうすぐ開演です!!

【著者プロフィール】
三浦純一:1950年生まれ
フォーバル・ベトナムのシニアアドバイザーとして2年。主にホーチミンでの現地法人立上げ、工業団地進出支援。

サイエスト株式会社 海外進出支援サービス 「グローバル顧問」所属
http://www.globalkomon.com