ミャンマー新政権でも検閲は継続、表現の自由が無い民主化か

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ミャンマーの最大都市ヤンゴンで開催されていた映画祭で、ミャンマー少数民族のシャン族をテーマにした映画が、政府の検閲により上映不可となっていた。

ミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が総選挙に勝利した事により、民主化が成功し表現の自由も保証されたとみられていた。特にスー・チー氏は、選挙活動中には表現の自由は確保すると明言していたため、支持者の多くはその言葉を信じていた。

上映不可となった作品は「ビルマの黄昏」という映画である。この作品は、オーストリア・ヴィーゼナウ出身の女性が、アメリカのコロラド女子大学に通い、コロラド鉱山大学の卒業生でビルマ・シャン州北部の藩王だったサオ・チャ・センと出会い、結婚した後にビルマへ渡り、シャン州の王女としての人生を始めた実話を元として制作されたものである。検閲では、作品の中で軍人に夫が拘束され、軍人がシャンの女性を暴行するシーンがあったため、このシーンを問題視していた。ミャンマー新政府では、このシーンがある事により、国内の民族間の不和に繋がる恐れがあるとして、上映を禁止していた。

映画祭の主催者は、現地メディアからの取材に対して「映画という分野において、表現の自由が保障されていない事に驚きを感じています。ミャンマーでは民主化が行われたのにも関わらず、この様な事態が発生した事に非常に落胆しています。独裁国家ではなく民主主義においては、表現の自由は保証されるものではないのでしょうか?」と見解を述べている。