ラオスのダム開発は環境破壊を進めるとの指摘を受ける

このページの所要時間: 152

ラオスではメコン川に関する開発を積極的に実施しており、直近ではドンサホン(Don Sahong)に構築するダムに関する協議を12月にメコン川委員会(Mekong River Commission)は実施している。しかしながら、一部の環境保護団体などからは、これらの協議は十分に行われておらずダムの開発は多大なる環境破壊に繋がるために更なる協議を行うべきとの指摘が行われている。

メコン川委員会とは、メコン川に接するカンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの各国政府が、メコン川に関する開発および利益の還元を共同で公平に実施するために設立された団体である。

ラオスなどにおける水力発電プロジェクトでは、国外の企業・団体が水力発電プロジェクトに投資を行うとともに発生する電力を購入する契約を事前に締結しているケースが多い。そのため、ダムを開発することによる環境に与える事前調査は実施されるが、開発を進める事を第一目的としていることからも、環境破壊などの観点は軽視されてしまう現状である。

環境保護団体などからは、川の上流において開発を実施することは下流部分にどの様な影響を与えるか未知数であり、最悪のケースとしては、海から川への水の逆流が発生し塩分濃度が濃くなる事により川の魚の生態破壊に繋がるとの指摘も行われている。
メコン川のケースでは、カンボジアのトンレサップ湖などの漁業へ与える影響が指摘されている。貧困地域においては、日常的に摂取することが必要なたんぱく質は、漁業から得られる魚から摂取している。そのため、漁業が行えなくなることは、これらの人々の生活を脅かす事にもなることからも、この人達への補償を実施するべきと言われている。しかしながら、現状では漁業が行えなくなる地域の漁師などへの補償が十分に行われておらず、地域が未発展であることからも代替の職業は無く、これらの人への救済処置が必要であると言われている。

ラオスでは海岸に接していない事からも、川の開発は国にとっての欠かせない重要な施策である。しかしながら、川の開発を行うことは環境破壊につながり、多数の利害関係者との調整も必要となることからも、今後も難しいかじ取りが必要となっている。