オーストラリアはインドネシアとの南シナ海合同警備を実施せず
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インドネシアのジョコ大統領は、中国政府を刺激しない範囲で南シナ海の合同パトロールをオーストラリア政府と実施したい方針であったが、オーストラリアのターンブル首相はインドネシア政府との合同警備を実施するつもりが無い事を現地メディアからの取材に対して明らかにした。
インドネシア政府は、南シナ海の領有権問題で中国政府がベトナム政府とフィリピン政府と争っている事に対しては中立の立場をとっていたが、オランダのハーグ仲裁裁判所が中国政府の主権を否定する判決を下してからは「中国政府は仲裁裁判所の判決に従うべき」との見解を示している。インドネシア政府と中国政府は、現時点では南シナ海の領有権で争っていないが、排他的経済水域(EEZ)に関しては争う可能性があるために、インドネシア政府は警戒を強めている。また、中国の漁船などがインドネシアの領海に不法侵入する事件も多発しているため、インドネシア国民からの支持の元で南シナ海の警備を強化している。この警備強化の一環として、ジョコ大統領はオーストラリア海軍との共同パトロールを提案する事を明らかにしていた。
オーストラリアのターンブル首相とビショップ外相は、環インド洋地域協力連合(IORA)首脳会議に参加するためインドネシアの首都ジャカルタに訪問していた。メディアからの取材に対してターンブル首相は「現時点では南シナ海でインドネシア政府と協力してパトロールを実施する計画はありません。」との旨を明らかにした。メディアから「インドネシア政府からの合同パトロールの提案は無かったのか?」という質問に対しては「オーストラリア政府は南シナ海で緊張を高める行動を実施する予定はありません。」との旨を述べ、質問に対しては明確に回答しなかった。