インドネシアは出生率を引き下げへ、2.1を目標
日本を含む先進国の多くは出生率を増加させるための施策に苦しんでいるが、世界第4位で2億5千人近くの人口を抱えるインドネシアでは、現在の出生率の2.3を更に引き下げ、2.1程度とすることを目標としていることを、インドネシア保健省が発表した。
インドネシアは、1人当たりGDPは約3,500ドル(日本は約38,500ドル)と低いが、世界第4位となる2億5千人程度の人口と、若い労働力などに支えられ、製造拠点および販売拠点の両面から巨大な市場となっている。この巨大な市場を獲得するために海外企業は積極的に参入しており、インドネシア政府はこの市場規模は維持する方針であるが、これ以上の人口増加が続いた場合には、国民全員に必要な食料・エネルギー・福祉などを確実に供給することが難しくなるため、出生率を更に引き下げることとなった。
インドネシアの出生率は、1980年頃では4程度であったが、政府および保健省が所謂「家族計画プログラム」および関連する啓もう活動などを積極的に実施したことにより、2012年に2.6、2015年は2.3まで引き下げることに成功していた。しかしながら、更なる引き下げが必要と判断したため、目標としては人口の減少を招かない程度の2.1倍とすることとなった。2以下とした場合には、人口減少および高齢化に繋がるためである。
インドネシアの出生率が高い理由としては、地方の農村では早期に結婚および出産するケースが多いためである。国連機関の調査によると、インドネシアの20歳から24歳の女性は、約22%が18歳までに結婚しており、開発途上地域に限定した場合には、この数値は更に上昇している。早期に結婚・出産した子供が、自身も早期に結婚・出産することを繰り返しているため、若い労働力が大量に発生することとなっている。更に、地域によっては早期に結婚することは良いことであり、晩婚となるのは良くないことであるとの風潮もあるため、日本などの海外と違い男性および女性の両性ともが早期に結婚することを望んでいる土壌もある。
また、早期に出産することによる弊害も発生している。十分な医療設備が整っていない農村などの地域では、妊産婦が死亡する率が高まっているためである。しかしながら、医療設備および受け入れ体制が十分に整備されている場合には、これらの率は劇的に改善するとされており、晩婚で出産するよりかは早期に結婚した出産する方が母体への負荷は軽くなるとの考えもあるため、一律に早期での結婚・出産を抑制するべきではないとの声もある。
日本の2014年の出生率は1.42であり、安倍政権は希望出生率を1.8としているが、実現されるかは未知数である。