インドネシア高速鉄道計画は中国が受注ー日本は無保証融資に応じず
日本の外務省は、9月29日に菅官房長官とソフヤン・ジャリル・インドネシア国家開発企画庁長官が会談した結果、インドネシアのジャカルタから西ジャワ州バンドンを結ぶ高速鉄道計画に関しては中国政府の提案を歓迎したいと伝えられたことを発表した。これによりインドネシアの高速鉄道計画は中国政府が受注する事が確実となった。
外務省側の発表によると、ソフヤン国家開発企画庁長官から、中国政府の案はインドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わずに事業を実施できるとの案であり、インドネシア政府はこの案を歓迎しているとの説明がなされた。菅官房長官からは、日本政府は実現可能な案を提案しており、日本提案が選ばれなかったことは残念である旨を述べ、今回のインドネシア政府の方針は理解しがたく極めて遺憾であると言わざるを得ない旨が述べられた。
ジャワ島の高速鉄道計画の受注に向けて、日本政府と中国政府が争っていたが、インドネシア政府は9月上旬に一旦白紙としていた。しかしながら、中国政府からの新しい提案を受けて急きょ決定する見込みとなった。インドネシアの国家開発企画庁長官も、地元メディアからの取材に応える形で、他国からの提案を受け入れる余地はまだあるが事実上決定している状況である、と明らかにしている。
インドネシアの現地メディアの報道によると、中国政府は8月末頃からインドネシア政府の政府保証を求めないうえでの事業費の全額融資(約50億ドル)を行うなどの破格な条件を伝えてきていた。インドネシア政府は、この中国政府からの提案を日本政府関係者に伝えた上で、日本政府からも同程度の条件を引き出そうとしたが、日本政府は常識的では無いとしてこの提案を拒否していた。しかしながらインドネシア政府も、中国の提案が失敗した場合に備えて、日本政府が何かしらの形で今回のプロジェクトに参加出来るよう調整・検討している状況である。