大渋滞の街、ジャカルタ【コラム】

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私が初めてインドネシアのジャカルタ市を訪れたのは今から20年以上前の1993年です。

その当時は空港から市内のホテルまではタクシーでちょうど1時間程度でした。それが今は2時間以上が当たり前という状況になってしまいました。タイのバンコクがやはり以前そのような状況でした。その後、BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)が渋滞対策として導入されました。ジャカルタでは同じようにMRTの導入が予定されています。こうした渋滞は日本でもお盆の時期などに発生します。大学の先生に言わせると、先頭の車がより早めに走行し後尾の車がゆっくりと走行すれば渋滞は起こらないといいますが、どうもそこには運転をしている人の人間性が関係しているかも知れません。

インドネシア人は”他人より先へ”という思いが強い国民性だと言う人がいます。おしなべてアジアの人達はそのような傾向が強いと私は思います。それはやはり”一歩譲る”的な考え方が身についていないせいではないかと思います。今まさに経済が発展をしている中で”一歩譲る”という考え方を教えてあげようとしても無理はありそうですね。したがって渋滞はBTSやMRTでは解消できないのではないかと私は考えています。

シンガポールでは渋滞対策として車両ナンバーでの走行制限策を以前から取ってきました。これは例えばシンガポール市内に乗り入れる事ができる車両の末尾の数字が曜日毎に決められているだとか、また1名乗車だと乗り入れができないなどといった規則を設けたりもしていたと思います。本当に苦肉の策を講じていますね。

ジャカルタではこの交通渋滞のせいでビジネスにも悪影響が出ています。私にも経験がありますが、打合せを設定しても時間通りに打合せは始まりません。1時間や2時間打合せの相手を待つことがよくありました。おかげでコーヒー好きになってしまいましたね。(笑)ひたすら相手が来るのを待つ。”武蔵はまだか”と同じ心境です。

ジャカルタが渋滞で世界的に有名な街となって久しいのですが、ASEANの大国としてリーダーシップを大いに発揮してもらいたいと願っています。ボルブドールの遺跡や素晴らしいダイビングスポットを持ち、そして何より多くの民話に彩られた国、インドネシア。その大国の都としての使命はますます重要になっているのではないでしょうか。”ブンガワンソロ”の歌を口ずさみながら打合せ相手を待つばかりではインドネシアの成長は少し不安になってしまいます。

【著者プロフィール】
三浦純一 66歳
フォーバル・ベトナムのシニアアドバイザーとして2年。主にホーチミンでの現地法人立上げ、工業団地進出支援。ベトナムでの進出支援はほとんど製造業で約7社。

サイエスト株式会社 海外進出支援サービス 「グローバル顧問」所属
http://www.globalkomon.com