日本の支援により、カンボジアとベトナムとタイが一本の道路で結ばれる
カンボジアの国道一号線は、今まではネアックルン地区でメコン川により分断されていたが、この分断を解消すべく日本政府は2004年から川を渡るための橋の建設を支援していた。この橋が完成したことに伴い、4月6日に開通式を実施することを在カンボジアの日本国大使館と国際協力機構(JICA)カンボジア事務所は発表した。この橋が完成することにより、ベトナムとカンボジアとタイが一本の道路で結ばれ、メコン地域における成長が大幅に促進される見込みである。
この発表によると、開通式にはカンボジア側からはフン・セン首相および公共事業運輸大臣などの官僚が出席し、日本側からは駐カンボジア日本国大使、JICA理事長などが出席し、現地の住民も参加する予定である。この橋の作成は約120億円の無償資金協力事業により実施された。
この橋は通称「つばさ橋(スピエン・ツバサ)」と命名されている。10年以上の歳月をかけて造られたこの橋は、2羽の鳥が手を取り合い翼を広げているように見えることから、カンボジアと日本のさらなる関係発展を祈ってこの名前が命名された。
この橋は、主橋梁640メートル、橋長2,215メートル、取り付け道路を合わせた全長は5,400メートルとなる。橋が開通した際には、近隣住民などの利用者は昼夜を問わずこの道を使ってメコン川を渡れるようになるため、職場、病院、学校などへのアクセスが大きく改善する。
また、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足した際には、カンボジア国内だけでなく国境を越えた人と物の往来がますます活発化することが予想されるため、この橋はベトナム、カンボジア、タイをつなぐ南部経済回廊の要衝となる見込みである。
橋の建設工事では、さまざまな困難に直面していた。特に2012年7月に起きた不発弾の爆発が挙げられる。この爆発事件では幸運なことに負傷者は出なかったが、4ヵ月近く工事を中断せざるを得なかった。この橋の建設地付近には、1970年代後半にカンボジアを支配したポル・ポト派の弾薬庫があったためである。工事の開始前に4千発以上の不発弾を除去していたが、完全には除去出来ていなかったために発生した事件であった。なお、この不発弾の処理には、日本が支援しているカンボジア地雷対策センター(CMAC)が重要な役割を果たした。
JICAは今後も、国際物流に欠かせないインフラを整備することで、メコン地域の物理的連結性を高める取り組みを進めていくことを表明している。