中国は南シナ海問題でミャンマーとタイの切崩しへ
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中国の王毅外相はアセアン外相会談などに参加するためにラオスの首都ビエンチャンに24日から入り、ミャンマー政府やタイ政府などとの個別の会談を実施し南シナ海問題で中国政府の立場を支持するように呼び掛けた。
王毅外相は、24日の午後から25日の未明にかけて、親中派であるラオス政府とカンボジア政府のみならず、中立を保っているタイ政府・ブルネイ政府・ミャンマー政府と、シンガポール政府との合計6カ国との個別の会談を実施した。それぞれの政府とは、南シナ海問題における中国政府の見解と中国政府からの経済支援についての説明を行い、南シナ海問題においては中国政府の立場を支持するように呼び掛けた。
現地入りしている記者団からの質問に対して王毅外相は「各国政府には中国政府の見解を伝えました。南シナ海問題は紛争当事国のみによる話し合いで解決すべきであり、ASEAN全体の問題ではありません。仲裁裁判所の判断は違法なものであり、既に過去のものです。」と述べた。
中国政府と南シナ海問題を争っているフィリピン政府とベトナム政府は、ASEAN全体で中国政府は仲裁裁判所の判決に従うべきであるという声明を発表するべきと主張している。シンガポール政府・インドネシア政府・マレーシア政府も、この方針に概ね同意している。しかし、従来から全方位外交を行い成功しているタイ政府とスーチー氏が率いるミャンマー政府は中国政府との会談の際に中国政府の考えに一定の理解を示しており、王毅外相はこの2カ国に照準を絞り切崩しに注力していくとみられている。なおタイ政府は、日本政府との会談の際には中国政府の立場を非難する日本の見解に概ね同意しつつも、中国政府との会談の際には中国政府の立場を支持するという政治巧者ぶりを現在も発揮している。