ASEAN外相会議が紛糾、中国批判声明にラオス・カンボジアが反対

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東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が24日に開催されたが、南シナ海で開発を強行する中国に対しての非難声明を盛り込む事にカンボジア・ラオスが反対したため、共同声明の発表が持ち越される事となった。

東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟している10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の外相が集まる会談が、アセアン議長国であるラオスのビエンチャンで24日に開始された。今回の会議では、中国政府が南シナ海で周辺国のフィリピン政府やベトナム政府の同意を得ずに強硬的な開発を進めている問題が主題に挙がり紛糾する事が想定されていたため、前日の23日から非公式の会合が実施されていた。

この非公式会合において、オランダのハーグ仲裁裁判所が南シナ海問題において中国政府の主権を否定したため、中国政府はこの判決に従うべきとの声明をASEAN全体で発表することをフィリピン政府とベトナム政府が強く主張した。インドネシア政府・シンガポール政府・マレーシア政府も大筋で同意していたが、中国からの多額な援助を受けているカンボジア政府とラオス政府が明確に反対した。また、中国との関係を強化しているミャンマー政府も、中国政府を名指しで批判する声明を出す事には若干の反対の立場を示しており、ブルネイ政府とタイ政府は態度を明確にしていない。非公式会合においても結論が出なかったために、24日のASEAN外相会議においても引き続き議論が実施されたが、結論が出る事は無かった。

そのため25日の午前中にも引き続き協議が実施されることとなった。また、日本の岸田文雄外務大臣と中国の王毅外相も24日から現地入りしている。中国政府はカンボジア政府とラオス政府への経済支援を軸とした話し合いを実施し、ASEAN全体での声明で中国を批判する事を避けるよう要請していく。一方の日本政府も、両国政府への経済支援を軸とした話し合いを実施し、ASEAN全体で中国を批判する声明を出すよう要請していく。