中国は次期国連事務総長候補の取込みへ、南シナ海問題の封じ込みも
中国外務省は、中国の王毅外相と次期国連事務総長候補の一人である元セルビア外務大臣で元国連総会議長であるブーク・イェレミッチ氏が会談を実施した事を発表した。
現在の事務総長である潘基文(パン・ギムン)氏は今年が最後の任期の年となるために、後任の事務総長を決定させる次期事務総長選が7月21日からスタートする。現時点では各加盟国から推薦された候補者12人から、候補者を絞っていく段階である。中国政府は、この候補者の一人であるブーク・イェレミッチ氏と個別に会談を実施する事となった。
この会談で王毅外相は、国連憲章は全ての加盟国の共通の意思である事を述べた。また、国連は平和を維持したうえで開発を促進し人権を保護するための活動を実施していくべきであり発展途上国の声を聞くべきでもあると述べた。
現任の潘基文事務総長と中国政府は良好な関係を保っており、その結果として潘基文事務総長は「国連は仲裁裁判所の判決結果を当事国に強制的に従わせる立場ではない」との見解を明らかにしている。中国政府はこの見解を元として、裁判結果には従わない事を表明している。南シナ海問題では欧米諸国から判決に従うべきであるとの強い声が挙がっているが、中国政府では次の事務総長においても南シナ海問題で中国を批判する人物が選ばれないように事前に自国に最適な候補者を選定している状況である。
【次期事務総長の候補者12人の氏名と出身国】
・スルジャン・ケリム元外相:マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
・ベスナ・プシッチ第一副首相兼外務・欧州問題担当相:クロアチア
・イゴル・ルクシッチ副首相兼外相:モンテネグロ
・ダニーロ・トゥルク前大統領:スロベニア
・イリーナ・ボコヴァUNESCO事務局長:ブルガリア
・ナタリア・ゲルマン副首相兼外務・欧州統合相:モルドバ
・アオトニオ・グテーレス前国連難民高等弁務官:ポルトガル
・ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁:ニュージーランド
・ブーク・イェレミッチ元外相 :セルビア共和国
・スサナ・マルコーラ外相:アルゼンチン
・ミロスラフ・ライチャーク副首相兼外務・欧州問題担当相:スロバキア
・クリスティーナ・フィゲレス国連気候変動枠組条約事務局長:コスタリカ