日本と東ティモールの南シナ海問題の懸念表明を中国は批判
中国外務省は、東ティモールのルアク大統領と日本の安倍総理大臣が南シナ海の領有権問題に対して懸念共有した声明を発表したことを受けて、南シナ海問題の当事者以外がこの問題を語ることは問題を複雑化させ悪化させるだけのため、一切の口出しをしないように強く批判した。
東ティモールのタウル・マタン・ルアク大統領は、3月13日-16日までの日程で日本に実務訪問賓客として訪問しており、この訪問中に安倍晋三内閣総理大臣と会談・夕食会を実施していた。この会談の際に、経済問題などを中心としつつも、地域・国際社会の課題として南シナ海の領有権問題が議題に挙がった。中国政府がベトナム政府・フィリピン政府などの承諾もなく一方的に実施している、埋め立てによる人工島の建設とミサイル発射装置などの防衛設備の建設を進めていることに、両者は強く懸念を共有した。また、この問題を解決するために両者は連携していくことも同意した。インドネシア政府やマレーシア政府との会談では、ここまで明確に懸念共有を表明していなかったため、この両国よりも一歩踏み込んだ形での共同声明であった。
日本と東ティモールの共同声明をうけて、中国外務省は3月17日の定例記者会見の際に、強く両者を批判する見解を述べた。中国外務省の報道官は南シナ海の領有権問題の前提として「中国政府は常に協議や交渉などの平和的な手段を用いて、南シナ海の領有権問題の解決を図ってきた。領有権と海洋権益などの権利に関する問題は当事者同士で話し合いをすべきであり、中国政府は第三者による解決策の提案を受け入れることは決してない。フィリピン政府は中国政府との直接交渉に応じずに、中国政府が同意していないにも関わらず仲裁機関への提訴などを実施しており、これはむしろフィリピン政府側に非がある。したがって、中国政府は仲裁機関からの裁定に従うつもりはない。」と前提を説明した後に「日本政府は、南シナ海の領有権問題に対して無責任な発言を行える立場ではないことを認識して貰いたい。基本的な事実を無視した、これらの無責任な発言により国際社会や国民を混乱させていることを認識すべきである。日本は利己的で自己の利益のみを目的とした不純な動機により、他国へ間違った認識を与えることがないように願っています。」と日本を強く批判する見解を述べた。