中国とアメリカはASEAN会議で南シナ海問題を争う-豪州・露も参加
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ASEAN地域では、この地域における防衛当局間の閣僚会合であるASEAN国防相会議(ADMM)が開催されており、この枠組みに8か国(日本、米国、豪州、韓国、インド、NZ、中国、ロシア)を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が11月上旬に開催される予定であるが、中国の国防省は29日の記者会見でこの会合に常万全国防相が参加することを発表した。
開催される会議においては通例通りに共同宣言が表明される予定であるが、この宣言内容においてアメリカ政府と中国政府が激しく対立する見込みである。アメリカ政府はいわゆる「航行の自由」の保護を基本として、フィリピンとベトナムと協調し中国政府が構築している人口島による領有権を認めない方針であるが、中国政府はこの主張を認めずに中国と交流が深いラオスとカンボジアを通じて抵抗する見込みである。
中国政府とアメリカ政府の討論は従来から実施されており、今回の会議は特段の目新しい会議では無いが、今回の会議にはオーストラリアとロシアも参加するため両国の動きが注目されている。ロシア政府は今回の会合に参加することを既に表明しているが、インドなどへのロシア製兵器の輸出を促進することを主な焦点としており、領有権問題に関してどの様な見解を示すかは明らかにされていない。オーストラリアも、中国・アメリカのどちらかを明確に支持する表明を行っていないことからも、両国の動きに注目が集まっている。
最終的な取りまとめは議長国のマレーシアが担当するが、マレーシアの現地メディアの取材に対してマレーシアの国防大臣は「アメリカおよび中国を含めた全ての参加国が納得する解決策を導き出すよう全力を尽くす。」と述べている。