ラオスやカンボジアなどの東アジアでは都市圏への人口集約が進む
経済成長が行われる事に伴い、人口が都市圏へ集約することは周知の事実であるが、国毎に同条件で詳細を比較したデータは今までに存在していなかった。そのため世界銀行はこれらのデータを集計・調査した報告書【東アジアの都市変遷:10年の歩み(仮題):East Asia’s Changing Urban Landscape: Measuring a Decade of Spatial Growth】を1月26日に発表した。この報告書によると、2000年から2010年の期間で東アジアにおいて都市圏に移り住んだ人口は約2億人となる。
この10年間で都市圏の面積は2.4%の割合で拡大しており、都市圏総面積は13万4,800平方キロとなった。都市圏の人口の増加率は年間で平均3%であり、人口は面積と比較して速いペースで増加しており、都市圏に住んでいる人口は7億7,800万人に達した。都市圏の人口が増加したことに伴い、圏内の1人当たりの生産量が向上している。このことは、都市化が行われることは所得の増加に繋がる、という理論を証明したことになる。なお、都市圏が占める面積の割合は全体の面積の1%未満であるが、人口は全体の36%となり、人口密度が急上昇している。
東アジア地域での最大の都市圏は、面積および人口ともに中国の珠江デルタ(中国の広州、香港、マカオを結ぶ三角地帯)である。珠江デルタ以外の人口1千万人以上の巨大都市は、上海(中国)、北京(中国)、東京(日本)、大阪(日本)、ジャカルタ(インドネシア)、ソウル(韓国)、マニラ(フィリピン)である。人口10万人を超えた都市圏の数は869である。
小規模な都市圏も著しく発展しており、小規模な都市圏(人口10~50万人)の572と、中規模な都市圏(人口100~500万人)の106の両方を合計した面積は、上記8つの巨大都市の総面積を上回っている。
国毎の都市圏の拡大率では、1位はラオスの7.3%、2位はカンボジアの4.4%となり、3位以降は中国、ベトナム、モンゴルと続く。ラオスとカンボジアは、元々都市化が進んでおらず都市圏が狭かったため、他国と比較して小規模の拡大であっても率としては高くなるために、上位を占める形となった。
世界銀行の見解としては、都市圏の拡大は今後も続くとみているが、拡大する際には貧困層に配慮した政策が必須であると考えている。その際には、政府や自治体の政策担当者が重要な役割を担っており、今回の調査報告書が役に立つのではと述べている。