AIIBの年次総会が開催、日本とアメリカの加盟を歓迎
中国政府が主導し設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、2回目となる年次総会を16日・17日に開催し、記者会見ではAIIBは日本とアメリカの加盟を歓迎していると発表した。
17日に開催された記者会見では、AIIBは加盟国を増加させる方針であり、日本とアメリカが参加を望む場合には歓迎するとの旨が述べたれた。実際に投資を行う際に必要となる資金調達方法に関しては、債券を発行する際に大前提となる格付け会社からの格付けを年内には取得する方針であり、現時点では3つの機関との話し合いを実施している。今後の投資を優先する案件に関しては、AIIBは地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定を支持している事からも、温暖化対策・環境対策などへの融資を積極的に実施していく方針である事を明らかにした。
中国から参加を歓迎すると名指しされた日本政府では、アメリカ政府と協力して設立・運営しているアジア開発銀行(Asian Development Bank:ADB)による、アジア地域への融資を実施しているため、当面の間はAIIBへ参加する予定はない状況である。ADBも急速に拡大させようとしているAIIBに対抗するために、JICAや他の金融機関などの機関との協力関係を含めており、案件発掘・各種調査・資金調達・融資等の全ての業務における能力強化を図っている。
AIIBが日本政府に参加を要請している理由は、「国際融資業務に精通した人員確保」「信用力確保」などの理由によるとみられている。「国際融資業務に精通した人員確保」という観点では、AIIBはADB職員に対して給料を増加させる事を約束した引き抜きを図っていたが、今後の行き先が不安定なAIIBに魅力を感じる職員は少なくなかったことから、当初予定していただけの人員を調達出来ていない状況である。「信用力確保」という観点では、国債格付け機関などから格付けを得る際には、国際融資などの実績がある経済力・信用力の高い国が参加していない場合には、高い格付けを得られないためである。信用力が低いと認定された場合には、融資に必要となる資金を調達する事が難しくなるために、低い認定を受けるのは避ける必要がある。各付け機関によっては、様々な根回しをする事で高い格付けを得られる事も可能ではあるが、近年の中国政府への国債格付け評価が引き下げられている現状を踏まえると、国際融資活動の実績が豊富な日本とアメリカの参加は必要な状況となっている。