日本においては東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所事故が発生した事により、原子力活用への反対の声が多数挙がっている。東南アジアの多くの国においては慢性的な電力不足に悩まされている関係で、日本の原子力事故を受けても原子力電力に前向けに検討している国が多いが、国民の反対などをうけて二の足を踏んでいる国が多い。このような現状のなか、ラオス外務省の発表によるとラオスでは原子力技術を活用する方針である事が明らかになった。
ラオスは海に面していない国であるが、川が多い事によりクリーンである水力発電を活用しており、東南アジアの他の国に比べると比較的電力インフラは安定している国であったため、この方針には関係者からは驚きの声があがっている。
ラオス政府の直近の動きとしては、2014年5月13日オーストリアのウィーンにあるIAEAオフィスにてラオス大使とIAEAの技術協力部門の代表が2014年から2018までの期間のCPF(国家計画フレームワーク)へ署名している。このCPFはラオスとIAEAとの間でラオスでは初めて策定したCPFとして2014年から2018年までの短期的・中期的な技術協力について制定している。CPFの基本方針は、ラオスの社会経済の発展とIAEAからの技術協力への受け入れ態勢を構築する事とされていて、IAEAからの核技術支援によりラオスの様々な分野における発展の目標を実現できるという想定に基づいている。このフレームワークには健康、食糧農業、環境保護、水資源管理、持続可能なエネルギー開発、産業、放射線廃棄物の安全、核セキュリティなどに関する事が記載されている。ラオス政府としては、単純に原子力発電所を建築し電力の需要を満たすという事だけではなく、原子力技術を受け入れる事により様々な分野の発展をさせる事を目標としている事が読み取れる。
他の東南アジアの国と比べると比較的電力量に不安が無いラオスではあるが、それにも関わらずこの様に原子力を活用する方向で舵を切っている。この動きに伴い他の東南アジアにおいても原子力を活用する動きが強まりそうだ。
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