環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意が7月末に行われなかったため、交渉国の間では動揺が見られているが、ベトナム政府はベトナム工商省の主導の元で、アメリカ・日本と二国間交渉を実施し、今後もTPP締結を目指していることを発表した。
ベトナム政府は日本政府よりも早い2010年3月の時点でTPPへ参加することを表明しており、ベトナム政府もTPP締結に前向きな状況であった。ベトナムはTPPが締結された場合には、主産業のひとつである繊維・縫製産業の関税率が引き下げられるため、アメリカなどの加盟国に対して衣料品などの輸出を増加させる事が可能となるためである。アメリカ政府も、衣料品の最大の輸入先が中国であることを懸念しており、これをベトナムに切り替えるという方針もあるため、アメリカ・ベトナム政府の思惑は一致していた。
ベトナム政府の今回の発表によると、今後も個別にアメリカ政府・日本政府と二国間交渉を実施していくが、アメリカ政府に対しては、ベトナム雑貨の輸出を促進させるため、雑貨などの関税引き下げ交渉を行う方針を明らかにしている。
アセアン地域内におけるTPPの参加状況は、現状では参加国の方が少ない状況であるが、タイ、フィリピンなどの国もTPP参加に関心を示しているため、今後の状況によってはこれらの国も参加する可能性がありそうである。
【アセアン地域内におけるTPPの参加状況】
参加国:
シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア
不参加国:
カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ
【TPPの歴史および参加国】
2006年:シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国による調印実施
2008年9月:米国が交渉開始意図表明。
2010年3月:米、オーストラリア、ペルー、ベトナムを加え8カ国で交渉開始。
2010年10月:マレーシアが交渉参加。計9カ国に。
2011年11月:日本、カナダ、メキシコが交渉参加に向けた協議開始の意向表明。
2012年10月:メキシコ、カナダが交渉参加。計11カ国に。
2013年7月:日本が第18回交渉会合に参加し計12カ国に。
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