インド政府はベトナム南部に人工衛星を追跡し画像を受信する施設を建設し、その見返りとしてベトナム政府に南シナ海の衛星画像データを提供する。この協力体制が現在両国間で協議中であることを、複数のインドの現地メディアが報じた。
詳細については協議中だが、建設する費用はインド政府側が全額負担し、ベトナム政府は広大な土地を提供する代わりに、中国や南シナ海などのインド政府が許可した一部地域の衛星画像の参照が許可されることとなる見込みである。
ベトナム政府は、南シナ海の領有権問題で中国政府と争っており、南シナ海の衛星画像が参照出来ることは領有権争いにおいて有利に働くとみられる。中国政府は南シナ海における人工島の建設を急ピッチで進めているため、これらの状況を逐次確認出来ることとなる。現在もアメリカ政府などからの衛星画像の供与を受けているが、リアルタイムで状況を確認できるわけでは無いため、中国政府に常に先手をうたれている状況であった。
インド政府も中国政府と国境問題を抱えており、1962年には大規模な軍事衝突が発生し、1965年には第二次印パ戦争が発生していた。現在も国境問題は解決しておらず、同じ問題を抱えるベトナム政府と協力することにより、自国の国境問題を有利に進める狙いがあるとみられる。
近年のインドでは、脱中国の動きが目立っている。インド西部のムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道建設においては、日本政府と中国政府が受注を目指して争っていたが、日本の新幹線を採用することを決定している。この採用は、安全性だけでなく、政治的な理由からも日本政府を選んだとみられている。インドネシア政府が中国政府の高速鉄度を採用したこととは異なっている。
ベトナム政府では、現在は党大会を開催している最中のため、本件に関する公式発表は行われていないが、党大会が終了次第、本件についても正式に発表される見込みである。
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