独立行政法人の国際協力機構(JICA)は、ベトナム政府にたいしてベトナム株式市場の公正性・透明性向上に向けた監督機関等の能力向上の支援を実施する事を発表した。
ベトナムでは、1986年のドイモイ政策による市場経済化により、株式会社の概念の導入が行われ、国営企業の株式会社化が推進された。その後は、株式会社化の進展に伴い、国営企業の株式を得た企業従業員を中心として株式の売買取引需要が発生したが、1990年代においては、証券取引に関する法制度は整備途上であり集中取引を担う証券取引所も設立されていなかったため、株式保有者と購入希望者間での相対取引を中心に取引がなされていた。
そのため、1996年に監督当局である国家証券委員会が設置され、証券取引に係る法制度整備が行われた。2000年には国家証券委員会傘下の公設市場としてホーチミン取引所が開設され、2005年にハノイに証券取引所が開設、2007年に証券法が制定、2009年にはハノイ証券取引所内に非上場公開株取引市場が設置された。これらの取り組みの成果もあり、ベトナムの取引所における上場数が増加しているが、株式市場の「公正性」・「透明性」・「効率性」を確保できているとは言い難く、市場に対する投資家の信認を十分得られていない状況でもあった。そのためJICAは、これらの問題を解決させるための支援を実施する事を決定した。
この支援は、「ベトナム株式市場の公正性及び透明性改善に向けた能力向上プロジェクト」として実施される。この支援が実施されるのは、2019年1月から2021年12月となる予定である。支援対象機関は、ベトナムの国家証券委員会・ハノイ証券取引所・ホーチミン証券取引所となる。具体的に実施する支援内容は、ベトナム株式市場の公正性・透明性向上のため、国家証券委員会及びハノイ・ホーチミン両証券取引所の規制・監督及び上場審査・管理等に係る運営能力の強化を図る。
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