刑事責任年齢を9歳とする法案に国民半数が反対、ドゥテルテ大統領は方針変更せず

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画像提供:フィリピン政府
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フィリピン大統領府は、刑事罰の適用年齢を現在の15歳から9歳に引き下げる法案に対しては、国民の55%の人々が現状の15歳のままとすべきであると考えている事を明らかにしたうえで、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は違法薬物対策のためには刑事罰の適用年齢引き下げは必要な法案であると考えているために、国民からの反対の声が多くてもこの法案を推し進めていく方針である事を発表した。

フィリピンでは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が麻薬撲滅活動を推し進めており、麻薬密売人や麻薬常習者が捜査の際に抵抗した場合には、射殺する事も容認した捜査を実施していた。そのため麻薬を密売する組織では、いわゆる少年法により刑事罰が適用されない15歳未満の貧困層の子供達を運び屋などに利用する麻薬販売を行っていた。現在の法令では15歳未満の子供には刑事罰を与える事が出来ないため、警察が麻薬を輸送している子供を捕まえたとしても、大元の麻薬組織の摘発を行うことや、子供の再犯を防ぐ事などが難しい状況であった。そのためドゥテルテ大統領は、刑事罰の適用年齢を9歳に引き下げる法案に賛成している。

この法案に対しては、国内外の人権派団体や欧米諸国からは強い批判が行われており「一時的には犯罪が減少するかもしれないが、子供を処罰する事は間違っている。」「貧困層の子供たちは、このような犯罪に手を染めないと食べていけない状況であり、現状を無視した対策である。」「子供へは処罰を与える事ではなく、教育により矯正させていくべきである。」「国際的な子供を守るという条約に違反している行為である。」等の声が挙がっていた。

これらの批判の声をうけて、フィリピン国内の非営利団体であるパルスアジア(Pulse Asia)が3月15日から20日の期間に対面インタビューにより実施した世論調査では、55%の人が刑事罰の適用年齢は現状の15歳のままとするべきという意見である事が明らかになった。

このパルスアジアの調査結果を受けてフィリピン大統領府は「パルスアジアの調査結果では、55%の人が刑事罰の適用年齢を現状維持とすべきと考えている事が明らかになりました。しかしながらロドリゴ・ドゥテルテ大統領のスタンスは変わりません。刑事罰の適用年齢を引き下げる事で、若者達も自分の行動に責任を持つようになるでしょう。」との旨の見解を示した。

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